薬の種類とそのはたらきと副作用

NMOSDの急性増悪期の治療1-3)

副腎⽪質ステロイド療法

副腎⽪質ステロイドは免疫や炎症を抑える作⽤があり、様々な病気の治療に使われています。

ステロイドパルス療法
急性増悪期のNMOSDで最もよく⾏われます。副腎皮質ステロイドを3~5日間点滴(1クール)し、効果が不⼗分な時には、もう1〜2クール⾏うこともあります。その後、飲み薬の副腎⽪質ステロイドを服⽤します。
ステロイドパルス療法を始めるタイミング
ステロイドパルス療法を始めるタイミングは、症状の重さやMRI画像を参考に決めます。通常、ステロイドパルス療法は再発したらできるだけ早く開始します。副腎⽪質ステロイドで早く炎症を抑えることで中枢神経のダメージを最⼩限にとどめる必要があるからです。
ステロイドパルス療法の副作⽤
眠れなくなる、⾎糖値が⾼くなる、感染症にかかりやすくなる、便秘、苦い味がする、⾼⾎圧、動悸、顔がほてるなどの副作⽤があります。
飲み薬の副腎⽪質ステロイドでの治療
軽い再発の場合はステロイドパルス療法をせず、飲み薬の副腎⽪質ステロイドだけで治療することがあります。

⾎漿浄化療法

ステロイドパルス療法の効果が⼗分に得られない場合や、副作⽤のために⼤量の副腎⽪質ステロイドが使えない場合は、⾎漿浄化療法が行われることがあります。⾎液中から抗AQP4抗体などNMOSDに関連していると思われる因⼦を取り除くことで病状を改善させる治療です。

免疫グロブリン製剤

視神経炎の急性期において、副腎皮質ステロイド剤が効果不十分な場合に、免疫グロブリン製剤の静注が行われることがあります。

  1. 1)日本神経学会. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. p.160-161
  2. 2)日本神経治療学会治療指針作成委員会編. 標準的神経治療:視神経脊髄炎(NMO). 2013; 30(6): p.777-794.
  3. 3)MSキャビン. 視神経脊髄炎完全ブック第1版. MSキャビン. 2018. p.66-70

NMOSDの再発予防の治療1-3)

NMOSDは再発を繰り返すのが特徴です。再発を繰り返すと障害が増えていく可能性があり、NMOSDでは診断されたらすぐに再発を予防する治療を始めます。

副腎⽪質ステロイドの内服

再発予防薬として国内で最もよく使われているのは、飲み薬の副腎⽪質ステロイドです。病状や主治医の考え⽅によって、副腎⽪質ステロイドの量が多くなることもあれば、免疫抑制剤を⽤いて飲み薬の副腎⽪質ステロイドをゼロにすることもあります。

副腎⽪質ステロイドの副作⽤
副腎⽪質ステロイドには、感染症にかかりやすくなる、⾷欲が増す、体重が増える、顔が丸くなる(ムーンフェイス)、むくむ、⾻がもろくなる(⾻粗鬆症)、⾎糖値が⾼くなる、不眠、抑うつなどさまざまな副作⽤があります。そのため、⾻粗鬆症の予防薬や⾎糖値やコレステロール値が⾼い場合にはそれに対する薬が処⽅されます。

免疫抑制剤(国内適用外):体内の免疫反応を抑制する薬

免疫抑制剤は通常、⼗分な効果が出るまでに数ヵ⽉以上かかるため、それまでは副腎⽪質ステロイドと併⽤し、徐々に副腎⽪質ステロイドを減らしていきます。

免疫抑制剤の副作⽤
免疫抑制剤の副作⽤は⾷欲不振、吐き気、嘔吐、⽩⾎球減少、貧⾎、⾎⼩板減少、感染症、肝機能障害、悪性腫瘍などがあります。

その他

副腎⽪質ステロイドと免疫抑制剤が効かない場合は、抗体製剤が使われることもあります。

  1. 1)日本神経学会. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. p.166-167
  2. 2)日本神経治療学会治療指針作成委員会編. 標準的神経治療:視神経脊髄炎(NMO). 2013; 30(6): p.777-794.
  3. 3)MSキャビン. 視神経脊髄炎完全ブック第1版. MSキャビン. 2018. p.66-79より改変

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