どんな検査をしますか?
NMOSDと診断されるまでに次のような検査が⾏われます。
問診
主な症状、本人の病歴、詳細な症状の程度と経過を聞き取ります。
神経学的検査
神経のどの部位にどのような障害が存在するのかを判断するために行う検査です。NMOSDでは、次のような部位・症状を確認します。
- 言語・認知機能・精神状態
- 眼底・眼球運動
- 顔面・喉の奥・舌
- 聴力、耳鳴り、めまい
- 筋力、筋萎縮、不随意運動
- 反射
- 感覚
- 小脳性運動失調
- 姿勢・歩行
血液検査
血液中に、抗AQP4抗体などの自己抗体があるかどうかを調べます。
磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging:MRI)検査
強い磁気と電波を使って、脳、視神経や脊髄などの病変を画像として映し出す検査です。
眼科検査
視神経障害・視野・網膜の厚さの検査を行います。
脳脊髄液検査
腰部から脳脊髄液を採取する腰椎穿刺を行い、中枢神経内で異常な免疫反応が起こっていないか、脳脊髄液の状態を調べます。NMOSDでは通常、脳脊髄液に次のような所見がみられます。
- 細胞数増加(50個/μL以上)
- 総タンパク濃度上昇(急性増悪期)
誘発電位検査
体の感覚器に刺激を与え、その刺激が脳に達するまでの速さと強さを調べます。
- 視覚誘発電位(Visual Evoked Potential:VEP)検査:視神経を調べる検査
- 聴性脳幹誘発電位(Brainstem Auditory Evoked Potential:BAEP)検査:脳幹を調べる検査
- 体性感覚誘発電位(Somatosensory Evoked Potential:SEP)検査:脊髄と脳幹を調べる検査
- 運動誘発電位(Motor Evoked Potential:MEP)検査:脳に磁気刺激を与えて、運動神経の機能を調べる検査
MSキャビン. 視神経脊髄炎完全ブック第2版. MSキャビン. 2024. p. 39-61
NMOSDの診断
NMOSDの診断
- 診断にあたっては血液中の抗AQP4抗体を測定します。特に、多くの症例で抗AQP4抗体が陽性となることから、この抗体の測定が診断に最も重要になります。
- 国際的には、NMOSDの国際診断基準(2015)が診断基準となります。
(日本における難病の認定には、厚生労働省が定める診断基準が用いられます。)
NMOSDの国際診断基準(2015)1、2)
抗AQP4抗体陽性の場合、他疾患が除外され、主要臨床症状のうち1つがあてはまればNMOSDと診断されます。

- 1)Wingerchuk DM, et al.: Neurology 2015; 85: 177-89.
- 2)⽇本神経学会. 多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023. p.26